12日朝8:30、二人でもきちを連れて家を出る。
予約していた検査のためだ。
一日かけて、胃腸の造影検査をするのである。
(腸閉塞を起こしてから、小康状態を続けていたが、
ここ数日何も食べず、10キロの体重が8キロと激減してしまった)
いつものように車の中でプルプルと震えているもきち。
「検査してもらって、治してもらおうね」
と言い聞かせながら、5分程して病院に到着。
「では、お預かりいたします」看護婦さんが抱きかかえる。
ふだんなら、パニックになって、逃げだそうとするはずだが、
今日はその元気もない。
待合室を後にする我々を見て、彼はどう思ったことだろう。
「ぼくを見捨てるの?」
しかたがない。
ここ数日、何も食べずに、どんどん衰弱してく姿を見ていた我々は、
病院に預けて安心したのと同時に何ともいえない悲しさに見舞われた。
家に帰る。もちろん、もきちはいない。
ぽっかりあいた穴を意識するのももどかしく、
家に着くなり、私は洗車と(もきちのトイレ周辺の)草むしりに汗を流す。
彼女は、家の(特にもきちのケージを入念に)掃除。
とにかく、何かしていなければ、この<空白>に耐えられなかったのだ。
夕方4:00、病院に電話を入れた。
この時間が来るまでが、とても長く長く思えた。
検査の途中経過と迎えに行く時間を確認することになっていたのである。
その間に、何度か電話が掛かってきた。
そのたびにドキッとした。
「何かあったのでは?」
そうでないことにホッと胸を撫で下ろしているうちに約束の時間を迎えた。
電話口に先生が出てくるまで、保留音がとても長く感じた。
いろいろ説明を受けた。
「腫瘍や潰瘍はない」こと。「腸管に炎症がみられる」こと。
そして、入院して24時間の点滴をしたほうがよいとのこと。
ガン等の重病ではなかったことに安心したのと、
家に帰れないのかと可哀想な気持ちが入り交じる。
しかし、食事をまったく受けつけない今、
家にいるより衰弱することはないだろう・・・。
気がつけば、「よろしくお願いします」と即答していた。
もきちの我が家での居場所は、一階にある。
LDKだが、ここにはダイニングテーブル以外何もない。
ある意味、もきちの占有スペースともいえる。
我々は食事や入浴以外、ふだんは二階で過ごす。
テレビでも見て、ひと区切りつくと一階に下りる。
もきちをケージから出してやる。庭へ出してやる。
おしっこをする。遊ぶ。エサを食べる。のんびりする。
そして、ひとしきりして、ケージに戻っていく。
しかし、今日は階下にもきちの姿はない。
かろうじて、ケージに彼のにおいが残っていた。
・・・何だかうれしかった。
二階に居ても、寝込んでいるもきちを起こさないようにと気遣って、
大きな音をたてないようにと、静かに行動する昨日までの癖がぬけない。
「ああ、今日は、いないんだよな」
やっぱり、入院して安心した気持ちと
寂しく、あわれな気持ちとがまぜこぜになる。
空っぽのケージに向かって、
「がんばれよ!」と声をかけ、静かに階段を上った。